府中教会の復活祭のご挨拶

「一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ」(ヨハネ12・24)。

 主のご復活祭おめでとうございます。爽やかで美しい桜の満開の時、私たちはイエス様のご復活を祝っています。カトリック府中教会にあるイエスの十字架も咲いています。磔刑イエスは復活されました。
 イエス様は一粒の麦のようにこの世界への愛の為にご自分の命を捧げられて、沢山の実を結ばれました。それが、私たちの抱いている希望と喜びです。私たちは、イエス様が結ばれた素晴らしい実りですから。二千年前のイエスの弟子たちと同じ驚異と歓喜を私たちも感じることができると思います。
 四旬節の祈りの花束を通して私たちもイエス様と一緒にこの世界のために時間を尽くして祈って参りました。四旬節第一主日から受難の主日まで次の意向の為に心を合わせて祈りました。 

 1.助けを求める兄弟姉妹に寄り添う者の為の祈り

 2.洗礼志願者の為の祈り

 3.難民・戦争状態の中におられる兄弟姉妹の為の祈り

 4.東日本大震災被害者の為の祈り

 5.貧困に苦しむ子供たちの為の祈り

 つまり、現代の重くて大きな十字架を担っている方々と一緒に歩んできたのです。十字架は十字架ですが、一緒に担いで行けば、我々の心の美しさも現れると思います。祈ることにより、人々の心に寄り添って共感することができます。祈ることにより、我々の弱さが人々のための力になります。祈ることにより、この世に対して神様が抱いている希望と望みが我々の希望と望みとなります。さらに、祈りから行動が生まれます。この世では、私たちが神様の足、神様の手、つまり神様の生きている心となります。
 府中教会へ赴任してから丸一年になりました。ミラノ会のつとめと府中教会の任務を同時に果たすのは大変であると感じています。しかし、皆様のご理解とご協力のお陰で、一所懸命頑張っています。宣教司牧委員会の方々をはじめ、この教会のために協力されている全ての方々に、心から感謝を申し上げます。この一年、時に誤解や意見の食い違いなどもありましたが、それについても皆様のご理解とご指導の下で、主任司祭のつとめを学んでいます。
 さて、この機会にこれからの私たちの将来に向けた歩みを考えていきましょう。
 子供達と親御さんたちへ。もっともっと明るくて楽しい教会を作っていきましょう。若い家族として、この教会をご自分の家庭として考えていきましょう。
 青年のみなさんへ。堅信の秘跡の勉強会をきっかけに、皆さんと出会うことができてうれしく思います。この社会で成長し、自分の将来の夢を考えていくなかで、イエス様のことと我々の教会のことも思い出して下さい。明るい時も、暗い時にも、成功をしている時も、失敗をしている時にも、府中教会は我々の家ですから、いつでもどんな気持ちの時でも来てください。いつでも、私は待っています。
 先輩のみなさま方へ。私たちは共同体の地盤です。人生の経験と信仰の歩みを通して豊かな知恵を私たちに貸し続けて下さい。
 教会に来られない方々、ご病気の方々へ。皆様に特にお祈りの務めをお願致します。また教会に来られない方々のご自宅の訪問をいずれ実践したいと思います。来られない方々のもとにご聖体を運び一緒に祈ることにより、教会の大事な絆を見える形で保っていけるよう願っています。
 そして、最後に。我々の共同体の将来の歩みについて、もっと意識を高めていきたいと思います。十年後、我々の共同体はどうなっているでしょうか?教会の活動や経済をどう維持していくのでしょうか?教会の建物をどうしていくのでしょうか?皆さんと共に、具体的に考えていきたいと思います。
 府中教会には「多く実を結ぶ」力があると信じています。私たちは、イエスの使徒として、現代の社会に遣わされています。皆さん、各々の置かれたところで、復活されたイエス様のように地に落ちた一粒の麦のように実を結びましょう。

 主のご復活おめでとうございます。

カトリックミラノ外国宣教会 管区長
カトリック府中教会 主任司祭
アンドレア・レンボ